幻冬舎Presents劇団扉座6回目の公演は『二代目はクリスチャン』である。
本当は去年の12月に新宿紀伊國屋ホールで上演される予定だったが、新型コロナウイルスの為に延期せざるを得なくなった。
つかこうへいの全盛期は1975年から1980年までだと僕は思っているが、その舞台を再現するのは不可能だと諦めていた。2012年6月、すみだパークスタジオ倉で横内謙介作・演出の『つか版 忠臣蔵』を観た。涙と笑いで劇場が揺れていた。つか芝居の全盛期の感動と興奮がそこにはあった。その時僕は、つかこうへいへのオマージュとして横内謙介作・演出による幻冬舎Presentsを劇団扉座と毎年演っていくことを決めたのだ。
『つか版 忠臣蔵』『郵便屋さんちょっと』『無謀漫遊記』と、つか芝居の聖地、新宿紀伊國屋ホールで演って来て、今回は『二代目はクリスチャン』にすると横内謙介が決めた。僕に異論はない。志穂美悦子主演で映画にもなったこの長編小説は、僕が角川書店(現・KADOKAWA)の文芸誌『野性時代』の編集者として手掛けたものだ。それを最後に僕は『月刊カドカワ』に編集長として異動した。『二代目はクリスチャン』は芝居には一度もなったことがない。そのつかこうへいのタイトルを借りて横内謙介が縦横無尽に想像力を駆使した舞台になる。
客席でひしめき合って観るのが、つか芝居観劇の流儀だから、思い切って今回は新宿紀伊國屋ホールを諦めた。新型コロナウイルス感染対策のため紀伊國屋ホールだと間隔を空けて座らなければならないからだ。
今回のすみだパークシアター倉は『つか版 忠臣蔵』を初演したすみだパークスタジオ倉を改装して名前を変えたものである。その原点に戻って40年以上前の熱狂を再現する。勿論、感染対策には余念がない。
主演は、つかこうへいによって抜擢され『飛龍伝94 いつの日か白き翼にのって』の舞台で絶賛を浴びた石田ひかりである。扉座の役者たちに伍して、どんな熱狂が出現するのか考えただけで待ち遠しくてたまらない。
横内謙介とは彼が新宿紀伊國屋ホールに初進出した『夜曲-放火魔ツトムの優しい夜-』をアシストして以来の付き合いである。
横内謙介の才能に惚れ続けている僕は、例によって金は出すが口は出さない。演劇はこんなにも面白かった。そうだ、これこそが演劇だ!横内謙介よ、それを見せつけてくれ。震えながら待ってるぜ。つかこうへいは今回も劇場のどこかで観ている。
石に齧りついても
演劇はコロナウィルスと相性が悪い。燃える、泣ける、キマル、つかこうへいスタイルは特に絶望的だ。つか流の激しいセリフ回しは、客席に向かって唾を飛ばしてナンボのものだ。さすがに2021年の秋なら終息も見えているだろうと思い、昨年末に予定していた公演を延期してこの時期に移した。その見通しも甘かった。引き続き感染拡大と闘いつつの、油断できぬ公演となる。
とは言えやる以上、しかも6回目となる幻冬舎プレゼンツシリーズとしては最もタイトル名の知られた「二代目はクリスチャン」を満を持して放つからは、せめて精神の濃密、魂の濃厚接触だけは今まで以上に過剰に究めたものにしようと思う。
今回は、石田ひかりさんをゲスト主演としてお迎えする。名作「初級革命講座飛龍伝」のヒロインを演じ、つかこうへい氏の世界を肌で知る最高の女優と、劇場が笑いに揺れ、興奮で燃え上がっていた、つかが切り拓いた熱い季節の芝居を甦らせたい。例によって単純な復活ではなく、私なりの新解釈、リライトを加えた扉座版を創作する。オリジナルストーリーの20年後の後日譚となる予定だ。
この公演もこれまで5回と等しく幻冬舎社長・見城徹さんより多大なご支援を賜って実現する。ただ今年は状況が大きく違って、世界中がコロナ禍で苦しんでいる最中だ。出版界も例外ではない。しかるにご自身の苦難については微塵も語られず、挫けるな、立ち向かえ、と我々を叱咤激励して下さる、その熱き愛情に対して、石に齧りついても傑作に仕上げ、恩返しを果たさねばならぬと決意を新たにしている。
見城さんが座右の銘とされている「絶望しきって死ぬために」というアンドレ・ジッドの言葉がある。実はこの詩句には前段があり「私は心中で望んでいたものをことごとく表現したうえで満足して、或いは、絶望しきって死にたいものだ」が全貌だ。見城さんは潔く、絶望から始められるが、我々はまだずっと手前のあがきの中だ。
あがき苦しみ、ことごとく表現する。今、この時代、この状況下にあって、それを我々の目指す境地としたい。
わたしの初舞台『飛龍伝’94』から27年が経ちました。
共演者の皆さんがあまりに面白くて、
若かったわたしは稽古場でも本番でも(!)、本気でゲラゲラ笑っておりました。
そんなわたしを見て「そんなにこれが面白いか!お前の私生活はそんなにつまらんのか!家で笑ってから来い!」とおっしゃっていた笑顔や、つかさんと過ごした全ての時間は永遠にわたしの中に存在し続けます。
あれから27年。
つかさんの世界に呼び戻してくださった幻冬舎の見城さんに感謝します。
そして、実直に演劇に向き合って来られた横内さんの演出を通して、つかさんのセリフの中に生きられることを、とてもとても楽しみにしております。
『扉座版 二代目はクリスチャン』どうぞご期待ください!
劇団扉座第71回公演 幻冬舎Presents
劇団創立40周年記念
『 扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION― 』
原作:つかこうへい
脚本・演出:横内謙介
企画:見城 徹
▽キャスト▽
岡森 諦 有馬自由 犬飼淳治 鈴木利典 新原 武 松原海児 野田翔太 早川佳祐 三浦修平 紺崎真紀 小川 蓮 翁長志樹 / 砂田桃子 大川亜耶
スペシャルゲスト 石田ひかり
▽日程・会場▽
2021年10月21日(木)~31日(日)
すみだパークシアター倉(そう)
〒130-0003 東京都墨田区横川1-1-10
TEL:03-3622-0819(9:00~17:30平日のみ)
※開場は開演の30分前
※未就学のお子様はご入場いただけません
※車椅子席ご希望の方は公演日の1週間前までにご連絡下さい
●ミナクルステージ…東京公演初日限定 全席指定3500円
★無謀ナイト…学生限定無料公演(扉座オンラインチケットでのみ取扱い)
◆ラクイブナイト…終演後にスペシャルイベント有
▽料金 (全席指定・税込)▽
前売 5000円/当日5500円
学生券3000円(当日要学生証)
ミナクルステージ(10月21日(木)19:00の回)
前売・当日共3500円/学生券3000円(当日要学生証)
墨田区民割引《墨田区に在住・在勤・在学の方対象》
前売・当日価格より500円引
※電話予約でのみ取り扱い
※当日受付にて証明書等をご提示の上、お支払いとなります(現金のみ)
例:免許証・学生証・社員証・会社発行の名刺等、住所が墨田区と確認できるもの。
【チケット発売】
9月11日(土)12:00より ドアクラブ会員優先販売 (電話・オンライン)
9月12日(日)12:00より 一般販売 (電話・オンライン)
★ 学生限定無料公演【無謀ナイト】開催 ★
扉座オンラインチケットでのみ取扱
9月12日(日)12:00より受付
※先着順=定員となり次第、締切となります。
◆10月27日(水)19:00公演のみ、学生に限り無料ご招待(一般のお客様はご観劇不可)
◆大学・専門学校生可
◆公演当日要学生証(中学生以下の方は年齢を証明できるもの 保険証など)
◆1度のお申し込みで学生5名様まで(5名以上の場合は複数回お申込み下さい)
つかこうへい×扉座 第1弾『つか版・忠臣蔵』公演の際、幻冬舎・見城徹社長の「この芝居をもっと多くの人に観て貰いたい、特に若者に観せたい」という一言から生まれた 学生限定無料公演【無謀ナイト】。
まだ演劇を観るチャンスやお金がないという若者のための無料ステージです。
この舞台が、若者たちの心に刺さり、未来を拓く無謀の火種となることを心から願います。
【チケット取扱い】
劇団扉座 03-3221-0530 (平日12:00~17:00/前売り開始日以外の土・日・祝休/公演中平日12:00~16:00/10月27日休)
扉座オンラインチケット
【お客様へのお願い】 (9月6日更新)
《緊急連絡先ご登録のお願い》
行政からの新型コロナウイルス感染症拡大防止等の要請を踏まえ、劇団扉座ではご来場のお客様に対して確実にご連絡が取れるよう努めてまいります。
ご購入先にかかわらず、ご来場のお客様におかれましては、ご連絡先等を事前にご登録くださいますようお願い申し上げます。
《公演に関する注意事項》
※ご来場の際には、検温、手指消毒やマスク着用など、感染予防策へのご協力をお願いいたします
※体調に不安を感じる方、2週間以内に感染者との濃厚接触が確認される方は、ご来場をお控えください
※公演中止など、主催者がやむを得ないと判断する場合以外の払い戻しはいたしません
※やむを得ない事情により、出演者が変更になる可能性がございます(その場合の払い戻しはいたしません)
※今後の感染状況や政府諸機関・東京都の方針によって、上記にてご案内いたしました内容を変更させていただく場合がございます
以上、予めご了承ください。
【フェイスシールドについて】
A列へお座りいただきますお客様にフェイスシールドの着用をお願いする可能性がございます。
こちらでご用意させていただくものはメガネ型フェイスシールドとなります。
ご自身でフェイスシールドをご用意していただいても構いません。
また、A列以降のお客様でも、ご希望の方にはフェイスシールドをお渡しいたしますので、受付にお声掛けください。
【上演時間について】
未定
【当日券について】
当日券につきましては、お電話でのご予約、またオンラインチケットでの販売はいたしません。
開演の1時間前より受付にて販売いたします。
詳しい情報は、当日扉座Twitterにて発表いたします。
◇扉座Twitter◇
【プレゼント・スタンド花ついて】
出演者へのプレゼント・花束等のお預かりはご辞退申し上げます。
また、劇場ロビーのスペース確保、及び密を避けるため、スタンド花はご辞退申し上げます。
ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
【終演後の面会について】
終演後のキャストへの面会はお控えいただけますようお願い申し上げます。
【スタッフ】
原作:つかこうへい
脚本・演出:横内謙介
振付:ラッキィ池田・彩木エリ(イカキック)
舞台監督:大山慎一(ブレイヴステップ)
照明:塚本悟(塚本ライティングデザイン)
音響:青木タクヘイ(ステージオフィス)
衣裳:木鋪ミヤコ・大屋博美(ドルドルドラニ)
メイクアドバイザー:tae ・ 比嘉奈津子(Be-STAFF MAKE-UP UNIVERSAL)
殺陣:西村陽一
所作指導:花柳輔蔵
プレゼンツ:見城徹/幻冬舎
協力: つかこうへい事務所
TEN CARAT krei inc. 大沢事務所 JJプロモーション すみだパークスタジオ ベルモック テンプリント 篠原 要
宣伝美術:吉野修平
宣伝イラスト:溝口イタル
制作:赤星明光 田中信也
票券:日高孝子 藤田直美
製作:扉座 【お問い合わせ】
劇団扉座
〒130-0003 東京都墨田区横川1-1-10-53B
TEL:03-3221-0530 (平日12:00~17:00/前売り開始日以外の土・日・祝休)