2006年09月                             

まさか(2006.09.23)

 まさかこんな日が来るとは思わなかった。
 45歳になった。

 当然もう目出度くなんかないので、恒例の人間ドック。あれほど嫌だった、バリウム飲みも、何が起きるか知ってるというのは、偉大なことで。苦しみは変わらぬものの、すっかり手慣れて、自然に苦しむ。

 あっという間に、行程をこなす。
 午後の検査と面接の間がかなりあったので、これはパチスロしかないかと思ったが、ネバネバのことが頭から離れず、朝飯を食いつつ、考えることにした。
 先日の六角との会話が大半はパチスロテーマで、以来、半分はパチスロのことを考え、半分がネバネバの気配。
 しかし、今日はネバネバがちょっと勝った。
 偉い、私。

 と自分を誉めつつ、池袋のデパートに。
 何もそんなとこいかなくても、という感じだけど、バリウム下しの下剤を飲んでいるので、いつ何時、緊急事態に陥るかもしれぬ。
 たくさん避難場所があるのは大切なことである。

 と、もっともらしい理由を語ってはいるが、本心は、目出度くないけどやっぱりお誕生日で、いくらなんでもこの日に、不安と苦しみの人間ドックと、芝居書きだけじゃ、あんまり私が可哀相、と思っていたのに違いない。

 案の定、お勉強の合間に、買い物をした。
 当然だ。
 誘惑的な品物に囲まれて、お勉強をしているのである。半分はお買い物のことを考えていた。
 いつも半分は余計なことを考えている私。

 それにこんな時のデパート、しかも紳士服とか売り場はまったくガラガラで、さあ、あなたのためのお買い物タイム、という雰囲気そのものなのであった。
 王様がフロア貸し切りしてるようなものである。
 んで、気分は王様となって、フロアをのし歩いたのである。
 
 結果、おそらくはうちの若者の一ト月のバイト代くらいはかるーく使ったと思われる。怖いから細かい金額は確認しないが。

 ああ、これもいいねえ。
 なかなかいいねえ。
 もらっておこう。

 こんな感じてあった。
 お腹にはバリウムと下剤が詰まり、腕には採血後のバンソコウを張り付けている中年のオッサンが、今更、何のお洒落なのよ、と我ながら呆れるが、たちまち、大きな袋を抱えることになった私、齢、ジャスト45なのだった。
 おまけに唇の端には、バリウム後の白いガビガビまでくっつけてた!

 その後、場違いなブランド袋を持って、ドックに戻り、頭の輪切り映像の撮影と、診察結果の面接に向かう。
 診察室にもブランド袋を持って入るしかなく、かなり間抜けな図ではあった。

 そしてふと、これで何か深刻な結果が出て、買った物全部無駄になったら、あほらしいな、と不安がよぎる。

 けれど、お医者さんが感心するほど、何の問題も見当たらず。
 またまた視力が下がっただけで、あとの数値は全部合格ラインであった。
 にしても、こんなにストレスがあり、時間も不規則で、ヘロヘロなのに、どうなってるんだ、俺。

 心の片隅で、深刻なのは困るが、まあ胃潰瘍ぐらいみつかって、とにかくしばらく休みなさい、とか命じられることを期待した自分もいたのだが。

 健康のお墨付きを頂く。
 ひとまずの胸をなで下ろし、袋を抱えて帰宅。
 ネバネバに戻る。

 そんな誕生日だった。
 今は翌朝、午前7時。
 こんな時間からやってんだぜ。45の俺。

 
 
 



打ち上げつつ書く(2006.09.21)

 ダンドリ。の打ち上げが、放送日にあった。
 連続ドラマの打ち上げは初参加。
 
 まあ、本当にチアチームを一から起ち上げたし、しかも五ヶ月ぐらいずーっと練習したり、撮影したりしていたから、彼女たちを中心にして、気持ちよく盛り上がっていた。
 半数以上が未成年なので、酒なしで。

 大変なことが多かったけど、ああ、やり遂げたな、という達成感を噛み締めた。

 半分ウルルン何とかみたいなものでもあるが。

 とはいうものの、すでにネバネバに追いまくられているので、本当に束の間の感傷であった。
 もっとゆっくり、晴れ晴れと終わりに浸りたかった。

 六角に久しぶりに会い、打ち上げ会場でいろいろ話す。
 変な光景だったであろうよ。
 加えて、メイフィッシュの山下幸乃と、福島彩子の二人が厚木高校出身で、わしら二人を加えて、20年に渡る先輩後輩が話していたりするのも、変な感じだった。

 ドラマについては、落ち着いてから回顧することにする。

 今はとにかく執筆あるのみ。
 実を申せば、まだ先が長いのである。
 間に合うのか、これで。
 というか、間に合わせなきゃイカンのである。
 打ち上げ会場でも招待券とか、配り歩いたし。

 しかしそんな中、明日は人間ドック。もう1年経ったのか!
 疲れてるから、今度こそ、変な数値が出てしまうんじゃなかろうか。
 しばし延期しようかと迷ったが、そんなこと言い出したら、ズルズルと行かなくなるのは分かってるので、迷わず行くことにした。
 
 あと、今日、万年筆博士から連絡があり、昨年発注した品物が完成したらしい。
 一年半待った。
 まあ、ちょうどいい誕生日プレゼントですな。

 



尻に火が(2006.09.18)

 喘ぎつつ、書いては消して、また書く日々。

 まだまだ闘いは続く。当初の稽古開始日はすでに遅らせているが、次のタイミングに間に合うかどうか。

 そんななかでも予定はあって、土曜日は朝から、某有名学校のゲストティーチャーをやりに。アシスタントに田島を連れて。
 演劇の特別授業を選択している中三の生徒相手に、2時間ほど。
 これがさすがに、秀才しかいない学校で。打てば響く快さ。
 お受験で入れたくなる理由がよく分かった。
 だいたいどんなワークショップも中学相手はてこずっているけど、ここだけは別世界だと思った。

 はっきりいって、下手な大学や専門学校の演劇専攻生より、頼もしいかとも、思ってしまった。
 もっともみんな、東大とか行って、官僚やエリートビジネスマンになっちゃうんだろうけどな。

 その後、則岡クンと打ち合わせ。
 本はなくても進めなくてはいけない準備がある。
 本が遅れる劇団にたくさん付いている則岡クンは、手慣れたもので、サクサクと進めてくれるので助かる。
 ついでに、たとえば鈴木聡が、いかに遅れ、どんなことになりつつ、芝居を間に合わせていくのか、いろいろ聞く。
 それでまだまだ、わしのなんか、遅れてるうちにも入らないじゃんと安心する。

 人の修羅場聞いて、安心するという状態はとてもよくないのであるが。それでも、ちょっとした精神安定剤になった。
 まあ、それぼと聡さんが、ギリギリまでかかってるということだけど。
 あと則岡クンと話していて、自分が今書きつつあるものに対して、何がまだ見えていないのかが、ようく分かった。
 そこら辺も則岡クンはとても手慣れている。
 慌てないで良いから、よく考えて進めて下さいなんて。
 
 あ、今、モーがわしの部屋にのそのそ来た。何の用だろう?
 何?と聞いたら、黙って去っていった。
 廊下でシッコでもしたのだろうか……
 と書いているうちにまた戻ってきて、今、足下で丸まり、寝始めた。

 それはともかく、
 そんな打ち合わせの後、NHKへ。
 ラジオ番組で、携帯短歌という番組にゲスト出演。
 もう放送は終わっちゃったが。

 なななんキリコ さんという漫画家がいて、今簡単に漢字が出ないから苗字は平仮名になったけど、その方が進行役。
 実はよく知らなかったのだが、短編集を読んで、深く感動する。
 身を削りつつ、日常の中の切実な思いを描いていく。
 痛さが、心に響いてくる感じが、やみつきになりそうな作品である。
 
 実際、ご本人にお会いできて感激だった。
 収録後、お車ご用意します、といわれて、つい新宿までと言ってしまった。何か微妙な遠慮だった。
 車に乗ってから、朝からの疲れがどっと出て、ふと行き先伸ばしていいですかね、と運転手さんに聞いたら、大丈夫ですよ。
 と何か無責任な返事。
 でもまあいいかと思って、池袋まで行って貰った。

 今、不祥事の後で、いろいろうるさいんです、とかいう話を聞いたばっかりだったので、申し訳なく思いつつ。
 問題だったらゴメンなさい。新宿までなのに、なんでこんなメーターなんだって。

 そんなこんなで、私もキリコさんに負けぬよう、身を削りながらやろうと、また机に向かう。
 本音を言えば、ひたすらちょっと休みたい。
 ずーっとずーっと、セリフとト書きの海に漂い続けだ。 

 でもでも、明日はまた停滞で、ダンドリ。の打ち上げ。
 最終回の放送日なのであるが。みんなで見ようという企画なのかも。
 
 まあジタバタしても仕方ない、何とかなるだろうと、根拠のない自信で、ギリギリの毎日を過ごしている。

 書き込みを見たら、厚高の同級生の美紀さんからメッセージ。
 そうか。
 オレは「ビッグになりたい」だったのか。
 
 余りに凡庸な言葉に、恥ずかしいと言うより、哀しくなる。
 まあ、芝居で生きていけるなんてゼンゼン思ってなかったから、半分冗談のつもりだったんだと思うけどな。
 スモールでもビッグでもない、今の中途半端な状態が、何とも微妙な感じではある。
 ちなみに、回胴業界(パチスロ)では、ビッグ・ボーナスに対するのはレギュラー・ボーナスである。
 引きの弱い私はたいていレギュラーです。
 
 大和で、チラシを挟み込んで下さる皆さん、ありがとう。
 まだ中身のない芝居で、タイヘン恐縮です。
 でも、そのご期待に応えなくてはと、自分に何度も言い聞かせております。

 今、モーは、フラっと立って、またどっかブラブラ行った。

 ラジオで何かリクエストを聞かれ、持ち込みで『人生号』をかけて貰う。
 久しぶりに聞いたけど、ふと泣きそうになった。
 いい曲だった。
 東京のNHKにはCDがなかったので、持っていったのをライブラリーに収めて貰う。
 みんな、何かでリクエストかけてくれ。
 復活ヒットさせようぜ。
 
 
 
 



寒くなった(2006.09.14)

 気が付けば秋。
 ダンドリ。を不思議な気分で家で見る。
 時間に追われて、格闘していた夏の日々が、遙か彼方のことのようだ。

 いよいよ来週で終わり。
 明け方入稿した、あれが映像になって放送されるのか。

 芝居はいろいろ着替えたりして劇場行って、関係者に挨拶したりしてね。でもドラマは普段着の私の日常の中にいきなり飛び込んでくる。
 今は、ひたすらねばねば書く日々だが、完成したものが届くのが今は放送日の翌日になってて、オンエアが初日状態である。
 なので、手を休めて見る。

 んでしばし、夏の時間に引き戻される。
 もはや、大変だった記憶も、懐かしい思い出に変わり始めている。

 んで、今はただ、ねばねばがタイヘン。
 時間がなくなってて、早く進みたいんだが、今、死にかけている祖母のことを書こうと思うので、キチンとしなきゃとプレッシャーがかかる。
 そんで、立ち止まり、考え、時に捨てたり、切ったり張ったり。
 何か、今年はずーっと、パソコンに向かって、セリフとト書き書きだけ延々とやってる気がする。
 とっくにエネルギーは切れていて、青息吐息。
 腰も痛いし、目も霞む。

 でもな。全部自分でやるって決めたことだから、やるしかないんだよね。
 いろいろタイヘンなことが起きるのに、頑張る要ちゃんたちに、私が励まされたりして。

 にしても、今年のMVPというか、MVDは、モーちゃんで決定である。
 基本的に、ずーっと強制引きこもり生活を余儀なくされている私なのだが、その苦難をとりあえず発狂せずに過ごせているのは、春から私のとこに来たモーちゃんのお陰である。
 
 パソコンに向かうのがどうにも辛くなると、とりあえずモーちゃんをかまって、ワシワシといじり回す。
 モーちゃんは迷惑がって噛み付いてきたりして、やがて二人(人として数えているところがすでに危険ではある)で、しばしノールールファイトをやって、お互いに我を忘れる。
 
 最後は、私がかまってくれたお礼に、モーちゃんの大好きなヤギミルクを1ヶ進呈して、終わり、モーはまた一人遊びと昼寝に、私は執筆に向かうのである。

 1日家にいる時は、それが何度か繰り返される。
 でも、もしモーがいなかったら、当然私はフラーと家を出て、しばし付近を徘徊するようなことになっていたであろう。
 そうなれば、更に遅れが出るのは必至である。
  
 世界はモーに感謝するべきである。

 モーは昨日、美容院に行って、可愛いリボンをアタマに結んで貰ってきたが、すでに私との取っ組み合いの中で髪はバサバサになり、キムタクのCMに出てた、チデジのような姿になっている。
 
 



速攻で(2006.09.09)

 新作書きに没頭してなきゃいけない時なのに、前から決まってた用事で、名古屋へ。
 万博以来、1年ぶりだ。
 思えば昨年の今頃は、閉幕に向けて、盛り上がっていた頃だ。

 昨日の用事は、名古屋踊りという舞踊公演を見に行くというもの。
 来年一つ、新作の台本を書くことになる予定。
 正直言って、ワシ、日本舞踊なんかナニも分かってはいないのであるが、ナニも分かってないテレビもミュージカルも、歌舞伎だって、しゃあしゃあとやって来たのであるから、
 特に驚くことでもなかろう。
 名古屋踊りの総裁・西川右近家元が朝倉摂先生と、星野社長とお二人の旧知のお仲間で、ご両人から、これは引き受けてね、と言われていたのである。
 このお二人から言われれば、そりゃ自動的に参加が決まります。
 実際、お家元にお会いすると、とてもサバけた方で、また創作に向かう姿勢がエネルギッシュで、気持ちよかった。
 何か面白いことが出来そうな気がする。
 
 もっとも今は、来年のことなんか、まだシリアスに考えられない、というのが正しい状況であるが。

 今日は帰ってから、これも速攻で、一件打ち合わせ。
 来年にやることになる、芝居の打ち合わせ。
 これも、当然私としてはノーアイデア。
 でも商業演劇なので、モノと主役は決まっているのである。
 このところ、大きな舞台の新作に関わってなかったので、ちょっと新鮮ではある。

 でも、とにかく目下は劇団の新作に向かわなくてはならない。
 速攻で帰宅して、パソコンに。
 んが、まだ生本の原稿を上げていないことを思いだし、慌てて執筆。
 こちらは、今回で連載が終わりになる。
 約5年に渡り50回の連載になった。
 今年中には、一冊の本にしてくれるはず。

 もっとも生本はリニューアルされて、まだ継続するらしい。
 私もまた内容を変えて参加の予定。

 昨夜打ち合わせ後、久しぶりに名古屋の町を徘徊する。
 名古屋攻めの相棒・赤星が不在なのが淋しかったが、ちょっとリフレッシュ。これで新作書きさえなかったら、2、3日、ブラブラしているところなんだが……
 
 一つ、面白かったのが、打ち合わせで、某ホテルの高級日本料亭でご馳走になったのだが、ここで何かケバイ姉さんが一人、店の人ともめていて、約30分、ひたすら怒鳴り通していたこと。
 「オメー、ふざけんなよ!人として許せねーよ!オーナー出せよ、ホテルの支配人連れてこい!」
 
 力の限り絶叫し続ける。
 当然、雰囲気はぶち壊しだが、怒鳴り通しの、姉さんのエネルギーにむしろ感嘆した。
 うちの犬だって、あんなに吠え続けられないぜ。

 そもそも、人として許せない、どんなことがあったのか、すつごく気になって、必死で聞き耳を立てたが、フザケンナ!みたいな過激なタンカばっかりで、さっぱり事情は分からなかった。
 アクション映画のクライマックスだけ見せられた感じ。
 多少退屈でも、やはり前半の伏線とか、人物関係の綾は欲しいものだとつくづく感じた。

 ご招待して下さったお家元のご子息が、

 ここはいつもこんな感じではないんですよ。

 と恐縮して仰有っていたが、そりゃそうでしょう。
 いつもこんなじゃ、面白すぎる。
 
 
 



実はね(2006.09.05)

 連続ドラマ書きから解放されて、頭が溶けて行く日々。
 放送はまだ続くけどね。
 いよいよ佳境に入りつつ。

 さて私はといえば、自分の劇団の芝居にとっくにとりかかっていなくてはならないのに、ウダウダと言い訳ばかりして、犬と遊んだりしている感じだ。

 春に家に来た犬もすっかり大きくなって、1日に何回か、私の腕にすがりついて、腰を振る。
 まあ、子犬時代からやってることだけど、だんだん大きくなってきて、腰つきが本気っぽくなってきた。
 まだ去勢とかしてないので、今後の展開が不安ではある。

 嫁をとってやりたいが、そんなこと始めたら、また大変なことになるだろうな。

 ところで、またほとぼりが醒めた頃のカムアウトをする。

 実は忙しい合間を縫ってやり続けていたパチスロ貯蓄がまた、かなり貯まった。
 春には貯蓄で、今の犬を買ったんだけど、それでは使い切れてない上に、その後、またまた貯まっていたのである。
 当然、勝っているワケもなく、わしゃいったいいくらパチスロ屋に注ぎ込んでいるのだろうかと、かなり不安になる。

 ともあれ、また貯まったのだ。
 んで、またまた要るのか要らないのか解らないけど、去年から気になってた時計を購入した。
 名をアラン・シルベスタインのスマイルという。
 知らぬ人が見たら、オモチャにしか見えないけど、これまたそこそこの高級時計で、まともな人はゼッタイに買わぬような物だ。
 時計界のダリみたいなフランスの時計師が創っているものだ。

 実は某有名宝飾ブランドの新作時計にも気持ちは動いたんだけど、パチスロの金で定番を得るみたいなのが、何か、セコい気がして、オモチャみたいなヤツにしたのである。

 まあ、大変だったこの夏の思い出も含めての無駄遣いではある。

 けど、未だ、どこにもハメて行く機会はナシ。
 犬の散歩にして行ってもいいけど、そのタメに時間を合わせるのが面倒くさい。
 ちなみに、それやこれやで増えた時計コレクションであるが、そのほとんどが、いつも停止状態である。

 脳味噌溶けついでに、白状しておくと、劇団二十周年記念として、これはまともなお金で、自分記念で買ったフランク・ミューラーのベルトがまた割れだして、(なんかゴム性だったのよね。高級時計なのに)新品に取り替えなくちゃイカンかったんだが、ゴム交換がこれで3度目で、しかもゴムの癖にケツコウ高価なので、この際、金属ベルトに付け替えようとこの夏思い立った。
 けど、これは正規店のみのお取り扱いで、たかがベルトがベラボーに高いのである。
 ちょっとした若者の月給ぐらいと言っておこう。
 ちなみに、ゴムでも数万円だ。
 完全にこの業界の金銭感覚は壊れている。
 でも、その頃、私も辛い打ち合わせの連続で、7割ぐらい壊れていた。
 パチスロをやる暇もなく、かなりイライラ状態だった。
 
 ちょうどその頃、鈴木聡さんと会っていて、彼は春から万年筆にハマり、すでに五本ぐらいあちこちの店で、古今東西の名品を買い漁っていると聞いた。
 まあ、物書きなんて、多かれ少なかれ、そんなものなんだろうな。
 何かで壊れて、変なことをやっている。
 聡さんは3ヶ月で高級ペンを五本ですからね。
 
 しかしワシも負けてはおられぬという気分になったのかもしれぬ。普段だったら、そんなに高いなら、またゴムでいいや。と思うはずなのに、もういいやいいや、どうだって、みたいな感じになって、スッゲー高い、時計ベルトを買うことになったのである。
 それも打ち合わせに向かわなくてはならぬ、慌ただしくも気ぜわしい中で、である。
  
 もっとも、それも今、ちゃんと停止している。
 ああ、ついでに本当に時間がしばらく止まってくれたらいいのに。
 明日こそは、グワーっと新作書きに没頭するぞ。
 出来たらいいな……
 どうかな

 



ねばねばー(2006.09.03)

 ねばねばに向かわ ねばならぬ。

 金曜日は、お昼に久しぶりに事務所に行って、則岡クンと雑談のような打ち合わせ。
 さあ、ねばねばだよ、という自分にカツを入れる感じの、打ち合わせであった。

 その後、世田谷に行って、萬斎さんの『敦』を鑑賞。
 深夜劇場で紹介した舞台だけど、現物を改めて見て、ますます感心。
 完成度の高い良い舞台であると思った。
 しかし、小説をまるごと朗読のカタチで、舞台作品に仕上げられては、劇作家としては、とても困るのであるが……
 まあ、この刺激を自作に生かそう。

 土曜日は、赤星君の仲介で、ねばねばの取材。
 老人ホームの視察である。
 客観的視察のはずだったのが、認知症のご老人の姿を見たり、お話聞いたりしているうちに、しみじみ他人事ではなく、親がこうなったらどうしよう、いやいやそれより自分がどうする?と私と赤星、則岡3人が我が事として語り合っていた。
 ホーム見学は、まるで自分が将来、そこに入るための説明を受けているような気分であった。
 
 んでその後、ちょっと個人的なことで、知り合いの赤ちゃんの顔を見に行き、ご挨拶を。
 会いたい会いたいと思いつつ、1年近くなっていた。
 ご老人をたくさん見た後に、可愛い赤ちゃんの顔を見て、ほっとした。
 赤ちゃんは、わしに抱かれて泣き出したが。
 そのうち、服だのアクセサリーだのプレゼントして、手なづけよう。
 
 さてんで、帰宅して、執筆にかかるか、と言えば、そうはいかず、ちょっとパチスロに。
 秘宝伝で、半箱ほど出て、はまりだしたとこで、どうするかと迷ったが、新北斗をまだやっつけていないことを思い出し、席移動。

 以前やり狂っていた北斗の拳という台のニューバージョンが今、パチスロ界では新規導入急増化中なのである。

 800幾つで捨ててある台に着く。BB66ぐらいの感じ。
 まずまず出てるはずの台だった。
 のに、打っても打ってもまったく気配なし。しかし、そろそろ北斗も当たるはずと言う根拠のない意地モードになってしまって、1100まで、ズルズルと。
 ほぼコインもなくなり、千円追加!
 ここでやっと、ハート様という、新北斗の新敵キャラとのバトルになって、当たり。
 
 んが、一回目のバトルで、燃えるミカンを喰らい、あえなく討ち死に。
 さすがに心が折れて、これにて退散であった。
 
 実はちょこちょこっと、新北斗には挑んでてるのであるが、まともな勝ちがまだ1回もない。
 だから、そろそろ出るハズなんて、勝手に思っているのだが、そんなに甘くはねえんだ。

 何とかしたい。



 
 





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