オーディション(2005.02.28)
錦糸町へ。まず今年の2年目突入組は、安達と新原と上土井に女子がガストン江原と大野亜美になった。卒業コンパの席上で、ガッツ伝説オーディションの応募書面を書き込んでいた上土井は、自分でも不思議がる残留。まあ、我々も他のメンバーもなんで、あいつを?と思いつつ、なぜか残ることになった存在ではある。誰も確かな理由が言えない。 しかし劇団というのは、そういう謎がいつもあるものである。犬飼も、どうしてこんなヤツを劇団に置いておくのだ、と入って五年ぐらいずっと言われていたものだ。 今回は、九年目にして、初めて茅野と私の役割をチェンジ。私が面接、茅野が実技審査を受け持つ。 これは来週もあるので、今回と来週の様子で決める。特筆すべき点としては『サクラ大戦』の舞台に立つことが私の夢ですという者がやってきたこと。 そうか、扉座メンバーが最近よく出てるもんな。 しかもそれは茅野の仕事だぜ。扉座が新しい世界を築きつつあることをしみじみ感じた。 一応述べておくと、それは悪いことではないと私は思っているのであしからず。いろんなヤツがいなきゃ劇団なんて集団はダメだ。誰にも解明できない謎も必要だし、裏口入学だって、成果があがるなら、有りで良い。とりあえず、今んとこは、裏口はないけどね。そもそも裏口は、我々に儲けがなくちゃ意味ないし。 審査の後は、錦糸町の韓国料理屋で、お疲れ様会兼、新入団おめでとうの会。 さて、明日は私は長久手へ。 地球タイヘン大講演会のプロモーションのため。記者会見とかやってくる。 そろそろいろんなとこで、万博のことが話題になりだしてきたけど、愛知県館の演し物については、まったく無視されてる状態である。そんなものがあることを誰も知らないといってもよいほど。 まあ、最初は話題にならなくても、徐々に面白さが口づてで広がればよい、むしろそうしたい、というのが我々の当初からの目論見なので、私はこれでいいのだと思っているが、周りが少し心配し始めている。そもそも、ホントに準備は進んでいるのか、ということも含めて。 そこで、明日、少し詳しい情報を解禁しようということになった次第。 名古屋辺りでは、少しぐらいニュースになるかな。 でも、ホント、オレ的には前評判はいらないんだ。 だって、講演会がそんなに面白くちゃ、不自然じゃない。つまんないけど、大切なことがそこにある。それが講演会ってもんだろ。 敢えてそういうことを万博でやってるのが、価値なんだから。 と思いつつ、シブシブ見てみたら、これが意外に面白い、というのが理想である。 だからあんまり盛り上げないでくれ。
といいつつ、明日は朝から新幹線だ。
やればできんじゃねえか(2005.02.27)
やっと私の情報が載った。それも一面。この世の中、やっぱり何より大切なのは、営業と圧力だね。 今日は、訳あって、オペラ座の怪人、鑑賞。映画ではなく、劇団四季。 んで、明日は、入団試験。 今年の直木賞の角田さんの『対岸の彼女』を読む。まだ半分ほどながら、さっきちょっと泣いた。 以前『生本』で一緒に連載してて、ちょい顔見知り。芝居を見に来てくれて、その後でお話しした。 久しぶりに良い小説を読んでる、って感じ。
言い忘れた。 ファントムはロンドンもニューヨークも見て、かれこれ四回目ぐらいなんだけど、何度見ても良くできた舞台だよねえ。そんで見る度に発見がある。私はこの作品にココロから嫉妬する。 1幕終わりのデュエット、建築ショウのお弁当コーナーで替え歌にしたやつで、ただ一人、ちょっと笑った。
小学校(2005.02.26)
昨夜から雪。 春一番が吹いたのに、ふいに雪だから、カラダがタイヘン。 今日は杉並の富士見ヶ丘小学校へ。劇作家協会のやっている演劇教室の、発表会。 青井陽治さんが構成演出をしたのである。 んで、会長の永井愛さん、斉藤憐さん、とか劇作家の重鎮も見に来ていた。とんでもない学芸会だ。 しかもうちの田中が、スタッフとして、かいがいしく小学生の世話をやく。 私は、このセクションの理事なんだけど、なかなか時間が取れないので、代理に田中を出向させたのであるが、例によって事務所仕事が嫌いな田中クンは、むしろこちらをメインの活動とし、富士見ヶ丘小の人になっているのである。 事務所はいいから、こっちに命を賭けろと、横内に言われてますから、とか行ってるらしい。 今度、熊本である劇作家大会も、私は名古屋の都合で一泊しか参加できないのに、田中は初日から最後までずっと泊まり込むのである。 いったい何者よ、お前? まあ、それで斉藤憐とか、青井陽治とか、売れない役者やってる時には、会うこともなかった人たちと、今やすっかり顔見知りで、談笑とかしてるんだから、良いことだけどね。 事務所も忘れないで、と記しておこう。
以下しばし独り言 だって田中クンよう、オレ、福岡行ったり、名古屋行ったり、汗だくで働いてるけどさあ、いろいろやっても、劇団税でほとんど吸い取られてよう、車の一台も持ってねえんだぜ。免許はあんのによう。そんで、たまに接待費で飲み食いしたら、経理のオヤジに金使いが荒いとか叱られてよう。四十超えて、まだ親父に叱られるんだぜ。 しかもなあ、私の仕事は、このホームページ上で紹介もされてねえじゃん。外部出演情報とかでも完全に無視じゃん。オレの仕事は劇団的には、裏稼業みたいなもんだから、仕方ないけどさ。オレが払う劇団税で、材木とか買うんじゃねえの? まあオレは自分で宣伝すっからいいけどさ……
とにかく田中ぁ、働けよなあ。 明後日は、9期生の入所試験もあるのである。 応募人数が減ったり、レベルが著しく低下した場合は、すべてこの2年の現場担当たる田中の責任だかんな。 ところで昨日、ハードディスクオーディオってのを購入した。たくさん働いてるから、車は買えないけど、それぐらいドーンと買っちゃうんだもんね。たとえオヤジに怒られてもいいから、会社の経費で買ってやったもんね。それも五千曲入れられるってやつだ。揺れても音が飛ばないしねえ。スゴイ時代になったねえ。 CDは大きすぎるし、いちいちMDに落としたりするのが面倒で、最近、音楽を外に連れ出すようなこととはご無沙汰になっていたのだ。でもこれで、音のある生活復活の予感。小さくて軽い。充電もたくさん。 名古屋で重宝しそうだ。
あと創刊のUOMOを買う。 大人の男向けのオシャレ雑誌だけど、物の値段がさ、どうかしてるね。何百万の時計とか、何千万の車とか。それを買うのが当然みたいな口ぶりでよぉ。この世の中、そんなにホリエモンみたいなヤツが大勢いんのかよぉ! しかしそんなもの買いもしないのに、ただ面白がって読んでるワシもここにいる訳で、まんまと作戦成功なのかもしれんが、にしてもな、世の中、完全に金持ちと貧乏が極端に二極化してるな。 んで、金持ちの一部が数十年の地位維持によって、貴族社会を形成しようとしている。 ホリエモンは新興の金持ちなので、そのニュー貴族界から、毛嫌いされてるんだな。 フジテレビなんか、二世の巣窟ですからね。みんなセレブの子息ばっかり。完全な貴族界である。 だからこそ、ホリエモンも憧れたのかもしれないけど、こうしてきっちり排斥されるのである。 オレはホリエモンに同情する。明らかに差別だと思うわけ。だって三木谷なら良くて、堀江はダメって、理屈が通ってないもの。三木谷さんの出どこが確かで、親の代からの知り合いが多いってだけじやないのさ。もちろん、お付き合い出来るなら私も断然、三木谷さんとするけどね。だってお行儀良さそうだもの。 まあ、その辺の歪んだ感覚は、私も大いにこの貴族化社会に侵されている証だな。ホリエモンは正しいけど、やつぱ三木谷さんにしとこ、みたいな。体制側安住傾向ね。 何しろ貴族でもないのに、真っ先にUOMO買って読んでるだから。ほう、マイバッハは五千万円か、なんて何の役にも立たない知識仕入れてなあ……
何かオレ分裂してるな……
名古屋で(2005.02.24)
昨日は、名古屋の劇座でタイヘン講演会の博士の稽古。全公演回数3861回になりそうな、半年の長丁場。それを担う役者さんたちがここにいる。 でもみんな楽しそうにやってくれてる。それが何より。本当はすぐに行かなきゃいけない次の用事があったんだけど、メシをいっしょに食った。ドラゴンズ御用達の名店、ピカ1というのは開いてなくて、その近所の韓国料理屋で。何か、錦糸町で、劇団宴会やってるような感じだったな。 にしても、まったく女っけがなし。その上に、やたらにガタイの良い役者そろいなので、柔道部の合宿のような風情であった。そんでニンニクや肉を食い散らかした。 その翌日、つまり本日は長久手に行って、パビリオンの舞台を使っての稽古。さまざまな装置の動きを確認したりしつつ。それぞれにきっちり仕事が進んでいて、一安心。アクロパフォーマンス担当若井田組のリトル・タカちゃん(我らが三千代と同じぐらいの背丈だ!)も来て、フライング部門のチェックもした。 講演会なのに、なぜか人が中空を動くのである。 これも問題はなし。 3月から、予定通り総稽古に入れそうだ。 ところで万博会場がますます活気づいてきた。お昼時のスタッフ食堂はもはや人が溢れていて、ぱにっく寸前の気配であった。それもさまざまな人種が入り乱れている。 ああ、ついに本当に万博が始まるのだ、と再確認。んで、何かちょっと愉快になってきたぞ。 所詮はお祭り好きですからね、私。 国文祭にせよ、万博にせよ。 そもそもが厚木高校の戸陵祭が私の原点でありますしね。(名作・ホテルカリフォルニアを参照のこと!)高校時代にやってることを、良い大人になっても、ただ続けてるだけ、ってのが私の正体なのである。 歳くって、徐々に規模が大きくなってきただけでな。 とにかくアレコレ確認し、稽古して、最終前の新幹線で帰宅。 長久手では、妙薰フ女性数人が参加。講演会に出演する、場内アテンダントのお嬢さんたち。 少し、華やぐ。 ところで、このアテンダントだが、愛知県パピリオンで彼女たちが着るユニホームが巷で話題になっている。ナンというか、ちょっと、かなりダサイんじゃないか、というんだね。 色合いといい、フォルムといいね。まあ、一般企業の会館ではないので、派手なミニスカって訳にもいかないのは理解できるが、わざわざそこまで、地味に、その上にケッタイなスタイルにしなくてもいいのでは?という感じなんだな。 胸には、a というワッペンが張られてたりしてね。ナンだろうと、思ったけど、どうやら愛知の a なんだね。それにしても、a だけ一文字貼り付けるのはどうなんだ? 未確認情報だが、このユニホームが嫌で辞めた子がいる、という噂もある。 とまあ、こんな噂が立ってしまったために、逆に話題になってもいて、私の周りでは、このユニホームが早く見たいという者まで現れだした。 私が面白可笑しく、あちこちで話し回った結果でもあるんだが。どんなのどんなの?とみんな目をキラキラさせて訊ねてくる。 そんなにダサイのが見たいのかよ! 見たければ、愛知県館に来い。延べ七十人のお嬢さん方(昔、お嬢さんだった人も含む。なにせ公共館なのでコンパニオンとは違う種類の集まりなのである、残念!)が、それを来て、待ちかまえてくれてるぜ。 でもね、今日、舞台に出て貰う都合上、とりあえずユニホームを着てみせて、ってことになって、一人のお嬢さんに着てみて貰ったのであるが、意外にカワイク見えたのであった。 ご本人は、えー、着るのですかぁ、とシブシブであったがな。なるほど噂もあながち出鱈目ではない様子ではある。しかしシブシブもなにも、これからそれを半年着続けるんじゃないか、なあ? でも、まあ、何着ても着合う子は似合うのよ。ね。今日はモデルが良かったのでしょう。
ちなみにね、この制服のことがどうしても気になる人は、愛知博のコマーシャルをようく見てみたまえ。大勢の人たちがドドーっと集まってる奴の中で、キッコロモリゾーの着ぐるみの、キッコロ側の隣りの辺りに、コーヒー牛乳を薄めたような色で、今からサファリ探検ですか?スカートの下にズボンはいて、ヤブ蚊対策ですか?みたいな服の子が立ってるはずだ。 それが話題の、ユニホームである。 是非、録画して、スロー再生してみてくれ給え。 話題に乗り遅れるな。 赤星は、これが話題のユニホームですか……、とニヤニヤして、デジカメに収めておった。
帰去来(2005.02.21)
タイトルだけ気取ってみる。 土曜日は、卒業式。やたらに寒い、冷たい雨の日であった。稽古場で卒業証書授与の後、居酒屋で謝恩会。 この中の多くとは、これでさよならになる。もちろん絆が消えるはずもなく、ずっと仲間ではあるけれど、扉座メンバーではなくなるのである。しかしこの時点では、まだその発表はなく、みながとりあえず卒業である。 でも、明るい宴会。ラブ3における、恋愛成立話などに花が咲く。今年も、そちらは花盛りであったようで、何より。恋の話やって、恋が起きないのはつまんないもんな。 ところでその中で、上土井クンは、オーディションという雑誌を開いて何やら研究していたらしい。茅野にみつかって取り上げられていた。今後の身の振り方を考えていたようだ。にしても謝恩会の最中に、リクルート活動かよう。 なかなか面白いじゃねーの。 役者よのう。
日曜は久しぶりにおうちにいて、月曜は、打ち合わせというか、人と会う。 まず横浜の能楽堂の方。いろいろと興味深いお仕事へのお誘いを受ける。かなり乗り気。 次に、フジテレビの杉田監督のご紹介で、愛知県豊橋市の方々とお会いする。監督は豊橋出身で、ふるさと大使というお立場でもあられるのだ。 これも、今後の企画の相談。豊橋市に絡んでのもの。 何を隠そう、茅野イサムも豊橋の出身で、豊橋なら、茅野だという流れが出来つつある。 茅野イサム、故郷に錦を飾るという企画で、何とかならないものかと個人的には思っている。 まあ、いずれにしてもちょっと先の話ではある。
明日、明後日は、名古屋長久手へ。 地球タイヘン大講演会の稽古を、劇場でやる。主立った装置はすでに完成の予定。その仕上がり具体を確かめつつ。 何しろ劇場建築からの大仕事である。 そう簡単にはいくまいと覚悟はしてるけど、さまざまなハイテク装置が予定通りに稼働するモノか否か、少しドキドキではある。
慌ただし(2005.02.18)
朝から福岡で講演。国民文化祭についての総括的なもの。朝からの講座だったのに、とび梅組の人たちや永遠座の人々とかも来てくれた。 未だ消えぬ、固い絆。実に嬉しいじゃないか。 皆さんと、もっとゆっくりお話ししてたかったけど、飛行機の時間があったので、残念! 今日の催しを終えて、いよいよ、ホントに終わったな、国文祭って気がした。福岡県のスタッフも、それぞれ次の仕事に取りかかっている。お疲れ様でした!
東京に帰って、今後の仕事の資料とか見たりしていろいろやって、明日は昼から一つ対談というか、インタビューがある。 演出家・栗田芳宏に私がインタビューするという仕事、何だよ、オレの取材じゃねえんじゃん、ってかんじ。 私は今や、インタビュアーでもあるのである。 そんで、それが終わったら大急ぎで、荻窪に行って、今度は、山根一眞さんのインタビュー撮影。私はその撮影監督係として撮影隊を連れて山根氏の仕事部屋に行く。 メタルカラーの時代でお馴染みの山根氏が、愛知県館のプロデューサーなんである。そんで私の演目の中で、ちょっと出て貰いたい場面が出来た。 にしても、私はいったい何者よ?
ちなみに土曜日は、八期生の卒業式である。
忙しかった(2005.02.16)
朝から番組収録。近藤良平さんと旺なつきさん。ともに見た目とは違って、自由で闊達で、しかしちゃんと冷静に考えてる、頭の良い方々であった。加えて、旺さんは美しい大人の女性でありました。イクタビューしつつ、ちょっと見とれた……久しぶりだよ、年上の人に見とれたのは。 近藤さんについては、一見出鱈目のようでありつつ、全方位的に視界を確保しているような、鋭利な感性に強く惹かれた。 実は若い頃、モダンダンスの竹内登志子さんを通じて、お会いしていたんだそうな。茅野が竹内さん秘蔵の新進気鋭のダンサーとしてダンス公演に参加し、ヨーロッパデビューを果たした頃だ。 しかし当方は、まったく忘れていた。そう言えば、茅野がコンドルズのこととか話していた気もするけど、ゼンゼン引っかかって来てなくて。 私は自分の不明を恥じますね。危うく、こんな才能との出会いを無にしてしまうところだった。 それほど気に入った。3月にコンドルズの公演があるんだけど、即日完売なんだそうな。もっともこっちも名古屋ごもりの時期なので、行けるかどうかは微妙なんだが…… んで収録後、急いで赤坂のスタジオに走り、万博のナレーション撮り。 名古屋の古老俳優、正木さんと、我が扉座のあずささんと、森本レオさんの声を頂く。 森本レオさんは、もうまったく、森本レオさんだよね。何のことかわからんだろうが。 雑談もレオ、仕事もレオ、休憩もレオって感じ。 正直言って、ナレーションも、上手いか下手かっていえば、王道は外れていると思うわけ。素人監督が生意気ながらね。 でも、圧倒的にオンリーワンの世界が生まれてくんだよね。持って余人に代え難き存在感だ。それでグイグイと森本ワールドに引き込んでいってしまう。何もかもをま。 プロだな、っていうか、森本レオなんだよな。森本レオは森本レオ界の第一人者なんだよ。彼は森本レオっていう職業を生業にしている人だ。 私はそう思った。 実を言えば、単に愛知博だから名古屋出身の俳優さんに手伝って貰うべきだ、って感覚で、出身者のリストの中にレオさんの名前をみつけて、もともと声が好きだし、と思って軽くオファーを出したんだが、受けて頂いてラッキィだった。 これで、数倍面白くなった。 さてさて、明日は福岡。 国民文化祭の総括っていうか、年度末の報告会の中で、講演をするために。講演は明後日の朝から。 まあ、手柄を語ればよいので、気分は軽い。 久しぶりに烏賊食ってくる。
追伸 みうらじゅんの「正しい保健体育」って本、サイコー。でも、週間金曜日の書評ではちと、取り上げにくいかな…… 気の弱い人と頑迷なフェミニストは、読まない方がいいけど。
さまざま(2005.02.13)
怒濤の如く、いろいろあった二日間。 まず昨日、金曜日は、お昼にラブ3。いくつか感じたダメは田中や茅野に伝言しておいたので、基本的にはひたすら見守る人に徹して、じっと見る。今更何を言ったって、急に上手くなるわけゃないしな。やれることは稽古場でやってるはずなんだし。 でも、メンバーの中の数人が、明らかに一つ脱皮している。初日の舞台がきっと生まれ変わらせたのだ。自信というか、勇気というか、目に見えて一回り大きくなっているんだな。 何日かけた稽古よりも、劇的に効く薬があるんだ、本番の舞台には。 それが全員に起これば、凄いことなんだけど、そうはいかないところが、芝居の難しさである。まあ、運とか、才能とか、いろいろな要素が絡み合ってね、成長に個人差は出る。 しかし、目覚めた者が、必ず仲間を引っ張って、全体を変わらせていくものである。たぶん、千秋楽までには、もっと多くの変化が見えてくるだろう。 そのお昼の舞台を終えて、私は写真撮影。今度出るエッセイ集「夢見る力は眠らない」(そーいうタイトルになった!)の装幀のためのもの。六行会の舞台や客席を使って。 んで、それを終えて、私は中野のポケットに、高橋麻里の出てるモダンスイマーズを見に。 ラブ3もやってるから、迷ったんだけど、茅野が面白かったら見た方が良いというので、エイヤ!と行った。かつて見た舞台にあんまり感心しなかったら、迷っていたのだ。 確かに今回のは面白い。蓬莱サンというのは、今、かなり注目されている新鋭作家なのであるが、その片鱗は充分に感じた。何より、誰が見ても分かる芝居派であることが頼もしい。同世代のみとか、演劇界内の内輪受けに止まらぬ、正攻法のドラマ作りだ。その分、アラも見だつし、演技技術への要求も高くなるのだけれど、誰かがここを踏ん張らなきゃ、演劇はいつまで経っても青春の思い出作りを脱せない。是非、がんばって欲しいと思った。 麻里は良い仲間を得ている。鍛えられる他流試合の場所だ。とりあえず、他の人たちの足を引っ張らずに、戦力の一人になっている。それが何より。どん欲にやれば、もっとやれる、お得な役なんだがな、ガツガツいかないところが、麻里の個性でもあるからな。 大谷さん、京クン、有馬、青年団の志賀さんなど、演劇おじさんたちが集結していて、揃って宴会へ。私はお昼の写真撮影のために、一人、場違いなオシャレスーツ。 いつもそんな格好なんですか?と聞かれ、当然ですと答えておいた。 にしても、注目度の高い劇団だなと再確認。 さて、一夜明けて、本日・土曜日は日帰りで名古屋。これから万博の開会までは、半分ぐらいは名古屋行きになる。 帰りの新幹線で、高田延彦選手を見かける。 握手とか、頼みたくなったけど、ご迷惑かと思って自粛。 かつてハントには渋谷の街で、握手して貰ったのだが…… すでにラブ3は開演した時間だったので、そのまま帰って、火曜日のNHKの収録のための、ビデオ鑑賞。近藤良平さんの宇宙舞踊団・コンドルズ。 抜群に面白い舞台。 ちょっと嫉妬を感じる、カッコ良さと頭のキレ。天晴れなばかばかしさ。 ラブ3にも、もっとこんなノリが欲しかったなと反省。もちろんこんなに面白いモノが一朝一夕に出来るものではないので、狙っても出来るモノでもないと思うが。とにかく、すっかりファンになりました。火曜日にお会いするのが楽しみ。
さて明日は、あっという間の千秋楽。実はまだ、誰を2年目の残すかの選考はしていない。ラブ3作りの課程で、いろんなものは見えてるけど、この数日で、別人になったヤツもいるからな。 明日、もう一度、じっくりと舞台の姿を見定めよう。これはそういうシビアな公演でもあるのである。 お昼の公演が終わった後は、すぐに有楽町に向かい、V6の坂本クンの出ている舞台を見る予定。それが終わって、錦糸町に行って、打ち上げ。 かなり多忙。
八回目の初日(2005.02.11)
ラブ3が始まった。満席の客席で、気分の良い初日。お客さんも、いつになく暖かかった、と思う。 昨日、課題として伝えたことは、まだまだクリア出来ていない。それでも、僅かながら進歩の跡は見えていて、明日以降の期待へ繋がっている。 始まると、一気に進行し、終点に辿り着く舞台である。 何事もそうだろうが、無我夢中でやっていると、アッという間に時が過ぎる。自分のやっていることの意味もよくわからぬままにね。 しかし後になって振り返ると、そういう時間がいかに大事なものであったか、しみじみと思い知るものだ。 初日を明けて、気を抜くなよ。一瞬一瞬を大事にしろよな。 たった四日間だけど、3年分に相当する、濃密な時間と空間なんだ。全身全霊をかけて、あらゆる体験を血と肉に変えるのだ。 明日も劇場。個人的に、劇場の舞台を使っての写真撮影がある。間もなく出る本の装丁のための撮影だ。 今日は終演後、スペースクラフトの大西社長と会食。青山でご馳走になった。来年以降、何かやらかしましょうと約束。私、茅野、赤星の3人。これに田中を加えて、チーム扉座・創作部である。
ゲネ(2005.02.10)
品川の六行会ホールで、ラブ3の8のゲネ。 開演前に、星野事務所の星野社長と久しぶりにお会いして、あれこれ雑談。 六時半より、通し。 直前になって、私があれこれいじったのが災いしてか、少し長くなっていた。 でも、コンパクトにまとまったサッパリ感は消えてはいない。 ただ、汚く狭い稽古場から、ピカピカで広々としたホールに来て、余計なチカラが入りすぎている。 一番の問題は、セリフが聞こえにくくなっていること。そんなに力まなくても声は届くんだ。ここは小ホールなんだよ、と言っても、経験がないと、わあ広いとこに来ちゃった、声が聞こえなかったらどうしよう!と舞い上がるものではある。 かつて、我々も経験した。最初に紀伊国屋ホールに行った時なんてね。スズナリとは違うから、声を張れ!て。 でもね、それは声量の問題じゃないんだよな。それより、はっきり聞こえるとか、イメージを伝えるとか、そっちの方がずっと大事なことでな…… まあ、誰もがそれを現場で覚えていくんだからな。多少痛い目に遭いながらな。 それも含めて、ラブ3ではあるから、しっかり経験しとけよ、って感じ。 まあ、総体的な仕上がりに不満はない。まだまだ良くなるから、気は抜くなといっとくけど、良いとこもたくさんある。泣ける場面も、笑える場面もちゃんとある。 明日、開けば、たぶん、それはお客さんたちが教えてくれることであろうよ。 あとは、ラブ3恒例の冷たい客席の雰囲気に彼らが負けないことである。 親類縁者率が高く、しかも無理矢理にチケット買わされていて、疑いの雰囲気の高い客席なのである。明らかに、期待されてねーな、っていう。 劇場なんか初めて来たぜ、って感じの人もたくさんいる公演だしね。 でも、2時間ちょっとしっかり闘えば、絶対分かってくれるんだ。今までもそうだった。 ただ、その雰囲気に飲まれると、ズルズルと芝居が落ち込んでいってしまう。それで余計に客席が白けたり、不安になったりして、どんどん冷え切ってゆく。 それはヤバイ。 まあ、そういうアウェイの洗礼みたいなのも、大事な通過儀礼ではあるのだがね。 それほど、君らは、今の時点じゃ、期待も祝福もされてない、ってことで、哀しいけど、それが現実なわけだから。 しかし、多くの役者は誰だって、そこから初めて、徐々に味方を増やしていくんだ。 明日が、その第一歩なんだ。 だからしっかり歩み出せ。 迷わず行けよ、行けば分かるさ、である。
寒い名古屋(2005.02.08)
ラブ3は小屋入り。でも私は、名古屋へ。 月曜日は、万博て私の創っている演目に出演してくれる、名古屋の劇団・劇座の諸君たちと今池という場所で稽古。 創立四十年という、由緒正しい劇団である。その座長である、アマチンさん(天野さん)が演目のメインキャラクターを演じてくることになっている。でもこの日、稽古したのは主にうちの劇団員のような中堅、若手の諸君だった。 なので、何か、いつもやってることをやってるような感じだった。 夕刻まで劇座稽古場にいて、その後、電通で映像部分の打ち合わせ。 夜には、先日、甲斐さんから名古屋へ行ったら、必ず行くようにと命じられていた、今池の台湾料理の店に劇座やスタッフたちと行って、親睦会というか、これからよろしく!の宴会。 台湾ラーメン発祥の地、ということであるが、我々にとっては、担々麺という名のやつのことであった。 確かに旨い。 でもなぜかおしなべて辛い。 四川料理みたいな、台湾料理だった。辛いのかね、正しい台湾料理って? ちょっと謎。今度甲斐さんにあったら聞いておこう。
さて明けて火曜は、名古屋は雨。まあ雪でないだけマシか。市内から、小一時間ほどかかる長久手のはずれに、会場はある。そして、市内から約三度ほど体感温度も下がる。 しかも、工事中のパビリオン内は、基本的に暖房が禁じられていて、寒いの寒くないのって…… 錦糸町・扉座稽古場より寒い。 そこで本日は、フライング装置のチェックと、その他、劇場機構の打ち合わせを行った。 劇場は大枠はほぼできあがり、今は特殊装置や美術の設置に取りかかっている。 会場全体もにわかに活気づいていた。 関係者食堂も大にぎわい。 各国の人々がみんな現場用ヘルメットをかぶって(厳しい規則なのだ)、図面抱えて、うろうろしてたりする。 初めて、ああ、ついに万博が始まるのだなあ、と思った。 いろいろ批判もあるし、実際、内部で仕事してても、問題は多いなあと思うこと多々のこの万博だけど、あのレストランの様子を見てたら、意外に面白い発見もあるんじゃないかと思えてきた。 とにかく突然、街が一つ生まれているのである。半年で消えることが決まっているんだけど、そこに世界中から、いろんな宝物とか、珍品奇品、芸達者や人気者が集まって創られる街だ。 そこにある出会い、って、馬鹿に出来ないと思う。たとえば、シルクドゥソレイユのスタッフとかも、隣でメシ食ってたりするんだろうし。 交流できたら、楽しいじゃないか。 お前は何創ったんだ?こっちはコレだ、とか。互いの仕事を語り合うのみならず、鑑賞し合ったりしてな。 何しろ半年だ。そうやって仲良くなったり、競い合ったりしなきゃ、退屈だろう。 遠いし、その上に混みそうだし。まあ、開いたら、そんなに行かないなあと思ってたけど、ちょっと通ってみるのもいいなと、思い始めた。 劇座の諸君も、劇団総掛かりで、私の演目にかかってくれることになり、ここにもまた新たな絆が生まれそうだしナ……
にしても、六会会ホールはどうなんだ?順調に進んでいるのか? 便りはなし。 便りの無いのは、無事の知らせだと、思うのが私の主義。 しかし明日はゲネを見に行くぞ。
寒い錦糸町(2005.02.05)
お昼から通し稽古。大がかりな道具の都合上、止め止めでしか出来ないが、一通り見せて貰う。 特筆すべきは、今回はとてもコンパクトで、見やすいこと。その上で、ラストに向けて極めてシンプルに進んでゆく。いつもはもっと盛りだくさんで、結果、中だるみというか、中ぶくれの感じがどうしてもぬぐえなかったからね。 ただし、その分、一つ一つが大事になる。量より質、って感じをちゃんと押し出さないとイカン。 その点はまだまだ不満あり。 あと、今回は茅野のサポートもなく、いよいよ田中がメインで演出を仕切っているんだが、そのチカラがシビアに試される時である。 田中なりに、新しいイメージ創りに取り組んでいる。ただその意欲と気持ちは分かるけど、それで観客を満足させられるかね。感動させられるかね。何よりも、お前のやりたいことが、役者たちときちんと共有出来ているのかね。 そんな疑問はまだまだ残る。 ちょいと厳しいダメ出しをして、一部、やり直しを命じた。 もちろん、演出なんて簡単なことじゃないから、上手くいかなくて当然の部分もあるんだけど、事務所の仕事もほったらかしで、これだけに時間と労力を注いできたんだから、それなりに成果を上げて貰わないと、私としては困るのである。 ラブ3は今や、扉座の大事な財産なんだから。 私が何もかもやっちゃう手が無い訳じゃないし、イザとなればそうするんだけど、ここが田中の踏ん張りどころだ。 とりあえず今回は突き放して、自力で何とかせいと言い残して帰った。 さて、観客はどう受け止めてくれるか。 今頃は、まだ必死で闘っているんだろうな。 若い役者たちだけじゃなく、劇団にとっても、真剣勝負なんだ、ラブ3は。 だから、面白いし、やり甲斐もある。
ラブ3(2005.02.03)
いよいよ追い込みなのである。昨日は、担当以外の数演目を見た。 なかなか面白いモノもあるが、納得のいかない部分もあって、急いで手を加えた。あと数日しか稽古もないから、彼らとしても今更いじられても困るだろうが、こっちも長くやってきた芝居者として、黙ってられない部分はあるので、タイヘンは百も承知で、無理と無茶を通す。 面白くなるのに、それをしないで、舞台を開けて、ああやっぱりこれじゃつまんない、と思う時の、空虚感と自己嫌悪。たとえ研究生の公演でも、それを味わうのは嫌だ。自分の感想だから、ことさらズシンと身に響くのだ。そういう負の感覚は他の仕事にも確実に悪影響を及ぼす。 だから、言いたいことは絶対に言う。 今頃は慌てて、稽古し直しているだろう。 にしても、今回はまた、取り立てて大がかりな道具を建てている。それをガンとか、ケンタとかトシノリたちが手弁当で手伝って、製作しているのだ。寒い寒い稽古場で、ナグリを持って道具叩きである。 何という先輩の愛! ま、かつては彼らが犬飼たちに手伝って貰ってやった訳で、そういう意味では、お礼の順送りみたいなものだけど、にしても、今の時代、こんなのは珍しいんじゃないだろうか。 大勢の人に支えられているんだ。 当の本人たちは、自分のことで精一杯で、なーんにも分かっちゃいないだろうが。 別に分かって貰いたいと思う訳じゃない。ただ、それだから、絶対に腑抜けたことはしてくれるな、と思うばかりだ。 明日は通し稽古を見る。
気が付けば(2005.02.02)
すでに二月なのである。 こんとこ日記もサボリ気味であったので、慌てて出来事だけ。 土曜日は、日テレアナウンサーの福澤一座公演を見に行った。昨年に引き続いて、福澤氏、渾身のそしてセミプロチックな芝居創り。隙がなさ過ぎて、かわいげがないのが欠点だと思うぐらい、完成度の高い舞台であった。 毎日、人一倍忙しく働いてる人たちが、こんだけの舞台創るのだからね、わしらはもっとがんばらなアカンと思うぜ。このレベルに達してない芝居は、ゴロゴロあるもんな…… ところでこの公演は、厚木高校の先輩である、波瀾万丈お天気兄さん、木原実先輩と行ったのであるが、そこにはお天気界の重鎮・森田さんもいらしていて、終演後は、一緒に飲み屋へ。 東京の4チャンと6チャンのお天気さん、と同席の宴会である。ある意味、スゴイ景色だと思わないか。 その席上、天気予報士、と発言し、気象予報士だ!と、お二人から同時に突っ込まれた。なかなか得難い体験であったことよ。
日、月はたいしたことなくて、一日は大忙し。 朝から、深夜劇場へようこそ の撮り。 島田歌穂さんと南果歩さんがゲスト。奇遇にも二人ともカホでカホ劇場の日であった。 ともに同世代で、一緒に仕事をしたことはないけど、ある意味、同じ時を歩んできたような(二人の方が遙か前方を颯爽と走っているって感じながらネ)感じがする。 話していて、とても快適だった。 二人とも、是非、何か一緒にやりたい女優さんだな。 とその場でも一応、ラブコールは送っておいた。果歩さんは伴の大学の同期で、ホントに昔から知り合ってはいるのだけど、なぜか仕事の機会がなかったんだよな。
んで、その後、飯田橋に一端戻り、愛・地球博の打ち合わせをして、その後はサザンシアターへ。 一生を含めて役者はよくやってると思ったけど、中身については、もう少し違う描き方が出来たんじゃないかなと思った。浅田次郎の原作と、目の前にある舞台とがまったくパラパラになっちゃってる気がした。小説を読んでないので、いい加減な感想だけどね。 浅田氏の小説は、もっと明るく馬鹿馬鹿しい、けれどオモロウてやがて哀しいエピソード集なんじゃないかと想像する。 それを何か、強引に大ドラマにしようとし過ぎてる気がした。 でも、現代の自衛隊は、矛盾の固まりで、それ自体掘り下げれば掘り下げるほど、ナンセンスな不条理しか出てこないと思うんだよな。軍隊と違って、辞める自由はある訳だからね。本当に嫌なら、辞めれば良い組織なんだよな。 なので、がんばることも、哀しく馬鹿馬鹿しく、続けることも馬鹿馬鹿しく切ない。でもそこにもちゃんと涙と笑いがあって、友情もあるんだ、って話なんだと思うんだけどな。 まあ、あくまでも個人的な感想で。 一生は、シャープでクリアな演技をしてた。難しい役をよく掴んでる。やけに痩せてたのが心配だが。
終演後、久しぶりにRUPの社長と取締役と、メシを食いつつ打ち合わせのような雑談。 長い一日であった。
明日も、愛博の打ち合わせ(映像部分について)と、錦糸町でのラブ3。
追伸 ずっとやったことなかったスロットってもんに、先日発作的にチャレンジ。パチンコ歴は極めて古いが、この分野ではビギナーの私、セオリー通りちゃんとビギナーズラッキィを引き当てる。 ちょっと、ブーム到来の予感。 ちなみに台は、北斗の拳。
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